億男

どうも管理人の963Kumaです
今回のテーマは、「億男」です
2014年10月15日発行 著者 川村元気さん

3000万円の借金を残して失踪した兄の連帯保証人になっていたために借金返済に追われることとなった一男
借金返済に追われる日々に嫌気がさした妻の万佐子は娘のまどかと共に家を出てしまう

1人で暮らしていくこととなり、日中は図書館司書、夜中はパン工場で勤務する日々
そんな時に、商店街の福引でもらった宝くじがたまたま当選し、3億円という大金を手にすることになる

3億円を手にした一男は、突然の出来事に困惑し、大学時代の友人で事業で成功し、大金を手にした親友の九十九に相談

一男は九十九の家の金庫にその3億円を保管していたのですが、ある夜九十九が現金3億円と共に失踪してしまう

果たして一男は3億円を取り戻し、再び家族と暮らすことができるのか?

「お金」
この言葉を聞いた時に、あなたの頭の中にどんなイメージが浮かぶだろうか?
ちょっと想像してほしい
1万円札を連想したかもしれない
優雅な生活を想像した人もいるだろうし、逆に貧しい暮らしを強いられ、働き続ける情景を思い浮かべた人もいるだろう
では、ある日突然、一生働かなくても、生きていけるだけのお金が自分のものになったとしたら?
人間はどうなってしまうのだろうか?

3億円が消えていた。九十九と共に
消えた3億円と九十九を探し出すために、一男はかつての彼の同僚である専業主婦の十和子、経営者の百瀬、宗教まがいのマネーセミナーを主る
彼らもまた、九十九との関わりの中で巨万の富を得ていた
今はそれぞれの生活を営む元同僚達との対話を通して、九十九と同僚たちに起きた出来事、富を得た人間のみが抱える苦悩や葛藤を一男は知る
「そしてお金とは何か」、「真の幸福とは何か」という根源的な問いと向き合っていくことになる

お金はとても身近な存在
食事をするにしても、何処かへ行くにしても、サービスを受けるにせよ我々は必ず何か対価として支払うものが必要
そして大抵それはお金である
さらに裁判やトラブルもお金を払えば解決できるケースさえある
少なくとも我々は日常生活でお金を目にしない日はない。
 ところが多くの人が持つお金についての知識は意外なほど少ない
何故あの紙幣で多くのモノやサービスを享受できる
そもそも紙幣自体に込められた意味は何なのか?
お金の大きさはどのくらいなのか?
お金はどのような歴史を持っているのか?
全てに答えられる人はそう多くない
同じように九十九からお金のサイズを聞かれ答えに詰まった一男に、九十九はこんな言葉を投げた

つまるところ、君はお金が好きじゃないんだ

だって自分の体重や今日の夕飯は気にしているのに、毎日触れているお金の大きさや重さを測ろうともしていない
本当に興味があれば、お金の全てを知ろうとするはずなんだ

我々がお金のことを詳しく知ろうとしないのはあまりにもお金が身近な存在になりすぎているから
多かれ少なかれ、殆どの人がお金を所持しているし、当たり前になっている
当たり前を知ろうとする人は誰もいない
それでもなお富を望む人が後を絶たない
しかし望む人に対して知ろうとする人の割合は圧倒的に少ない
だから多くの人がお金で身を滅ぼす
そんな話を見たり聞いたりする周囲の人々はお金を恐ろしいものだと思い、ますます知ることをやめてしまう
こうした負のスパイラルが生まれ、お金に対して悪いイメージが先行するのでは
日本では人前でお金の話をする事を避ける人が多い
これはお金に対する恐怖の表れだ
作中の人々は普通のサラリーマンが一生かかっても稼ぐことができないほどのお金を手に入れた
また我々が現実にいる世界にも億万長者は大勢いる。
アメリカのボストンコンサルティンググループの発表によると世界の富の約半分は世界人口の僅か1%が保有しているとのこと
登場人物たちも現実の大金持ちたちも傍目から見れば、全てを手に入れたように見える
だが彼らは本当に全てを手に入れたのか?
全てを手に入れることができるということは、手に入らないものを全て失ったことと同し
彼らは、自らが手に入れた富以上に多くのものを失った気がしてならない
「お金」 
この我々の最も身近に存在し、時に人を幸せにし、時に狂わせる怪物を題材にしたこの「億男」は、お金と、そして人生者に問いかけ?
答えはそれぞれ異なるものだと思う
あなたはどのような答えを登場人物の姿から見つけ出すのだろう
仮想通貨が普及し、既存の社会や貨幣経済の在り方そのものが大きく変わりつつある今、お金と幸せについて考えることが必要だ

お金に向き合いたい人にオススメ

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